- NO.00068 MINNEW公開 2026.10.12簡単なことを難しく言うと、なぜわかった気になるのだろう?
難しい言葉は、理解を運ばない
RITEで記事をつくり終えたとき、画面に並ぶ引用文献を眺めながら、ふと背筋が伸びる感覚がありました。知らなかった論文の名前、聞いたことのない研究者の言葉、精緻に組み上げられた考察の連なり。「自分の視野が広がった」という確かな手応えがある。でも、翌朝その記事を読み返すと、自分がほんとうに何かを理解したのか、それとも理解したという感覚だけを得たのか、判然としなくなることがあります。月の裏側の写真を見て、月を知った気になる。その写真が精巧であればあるほど、自分が月面を歩いていないことを忘れやすくなる。この小さなずれの正体を、認識論と認知科学の両側から照らしてみたいと思います。
- NO.00057 MINNEW公開 2026.10.12人は2つの対照的な世界を同時に生きられるのだろうか
日常に非日常を
見知らぬ街の朝、路地の石畳に折りたたみ椅子を出した小さなカフェに入る。メニューは読めず、窓の外では聞き慣れない言語が飛び交い、次の一時間に何が起きるかまったく予測できない。それでも熱いコーヒーカップを両手で包んだとき、その重さと温度だけは自宅のキッチンと寸分違わない。変数だらけの空間の真ん中に、小さな秩序の島が浮かんでいる。この逆説的な安堵は何を教えているのだろう。日常と非日常は交互に訪れる別々の領域ではなく、互いの内側に折り畳まれた状態で同時に存在しているのではないか。
- NO.00047 MINNEW公開 2026.10.10負けていないのに、なぜ負けたと思うのだろう?
負けを決めるのは、審判ではなく自分自身だった
目標を達成できなかった夜、胸の奥に重いものが落ちてくる感覚を、あなたも知っているはずです。肩が内側に丸まり、呼吸が浅くなり、まるでスタジアムの照明がすべて落ちたかのような暗さが広がる。不思議なのは、その感覚がスポーツで負けたときと区別がつかないほど鮮明だということです。誰かと戦っていたわけでも、審判がいたわけでもない。それなのに、体はすでに「試合終了」を知っている。この問いから始めましょう。私たちは何をもって、自分の「負け」を決めているのでしょうか。
- NO.00038 MINNEW公開 2026.10.07アート思考とデザイン思考に必要な色彩デザインについて
直観を説明した瞬間、色彩はデザインになる
コワーキングスペースの壁に塗られたテラコッタ色の前で、足が止まったことがあります。なぜこの色なのか、その場では言葉が出てきません。ただ身体が、何かを感じ取っている。ところが隣にいた人に「なぜ気になるの?」と問われた瞬間、ぼんやりとした知覚は輪郭を持ち始めます。「温かみがある」「土の記憶がある」——言葉を探す行為そのものが、直観を知識へと変えていく。色を選ぶとき、私たちはすでに何かを知っている。しかしそれが「知識」になるのは、他者の問いに応えようとする、あの緊張の瞬間なのです。アート思考とデザイン思考の橋渡しは、そこから始まっています。
- NO.00027 MIN公開 2026.10.05人はなぜ、好きなことにまで「成長」を求めてしまうのか?
好きなことが重くなるのは、外的善に汚染された瞬間だ
原稿を開くたびに、最初の数行は軽い。言葉が勝手に動き、指が文字を追う。ところが「これは読まれるか」と一度でも考えた瞬間、その軽さは消える。画面の前で固まり、書いた文を削り、また書く。同じ行為なのに、何かが根本的に変わっている。この感覚を「気の持ちよう」と片づけてきたが、そうではなかった。好きなことが重くなる瞬間には、活動そのものの質が変容する構造的な転換点が存在する。その転換点を哲学・心理学・神経科学の三つの角度から照らすと、「積み上げる」より「積み下ろす」ことで本来の動機に還れる、という直感が鮮明に輪郭を帯びてくる。
- NO.00018 MIN公開 2026.09.30他者との交流を排除した際の沈黙が良いラポール形成に繋がるのか?
「間」が埋めているのは、言葉ではなく信頼だった
会議室で、誰かが話し終えた。0.8秒の静寂が訪れる。私はその空白に耐えられず、言葉を差し込んでしまった。後になって気づく——あの瞬間、私は沈黙を「空白」として恐れ、相手が差し出していたかもしれない何かを、自分の言葉で塗りつぶしてしまったのだと。沈黙とは情報の欠如ではなく、何かが起きている時間なのかもしれない。その「何か」を問うことが、ラポール形成の見えていなかった経路を照らし出す。言語を超えた場所で、信頼はどのように生まれるのか。この問いを携えて、能楽の舞台から神経科学の実験室まで、沈黙の構造を辿ってみたい。
RITE EXPLORE/問いの連鎖
読み切ったからこそ生まれた問いに、答えがある。
読み終わった記事の中で、もう少し深く考えたい問いが立ち上がる瞬間があります。RITE EXPLORE は、その問いを書き込むと、ミラツクの知の基盤とともに 600 字の「深掘り記事」を作成する問いの連鎖の仕組みです。書かれた問いと深掘り記事は、他の読者の問いともつながり合い、新しい問いを呼び続けます。
Recent Articles / 新しい記事すべて見る ↗